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2016年3月24日木曜日

縞模様の馬なんて洒落た生きものを神様は…

昨日の朝、愛知県の観光牧場が乗馬クラブに調教のため預けていたシマウマが脱走して(シマウマをどうやって調教するつもりだったんだ?)、山を越えた岐阜県のゴルフ場で発見されたというニュースをTVで見ていた。ヘリコプターの生中継が放送されていて、冬枯れのゴルフコースを疾走するシマウマという非現実的な風景に、仕事前の気の重い朝の空気が一変する。

捕まえようと右往左往する人間を尻目に、けっして追いつけない速度で駆け回るシマウマ。うれしくなって友人に「シマウマが脱走したよ」とメールした。がんばれー、二本足の不恰好な生きものを、もっときりきり舞いさせてやれ。

すると昼過ぎに、シマウマが死んでしまったよ、とその友人から返信が届く。ニュースサイトを見たら、麻酔銃で朦朧としたシマウマがコースの池に入って、そのまま溺死してしまったことを知る。

人間の不器用な仕打ちに、死んでしまった美しい生きもの。

これはWoodland Park Zooのシマウマです

わかっている。遠い国から無理矢理連れて来て、本当に暮らすべきサバンナから引き離して囲いに閉じ込める人間が悪い。だけど私は動物園でいろんな動物に会えるのが、子どものころから楽しくてしょうがない。人間の身勝手で申し訳ないけど、どうか幸せな生をまっとうして、小さな人間たちがあらゆる動物の生きられるような自然を維持する責任に思いを馳せることができるよう、手助けしてほしいと思っている。

夢だとわかっているけど、人間の作った都市のあちこちに、動物たちがわがもの顔で暮すという妄想は抗いがたいものがある。リトアニアからアムステルダムに来て「どんな国籍であれ見かけであれ、脅かされずに混ざり合っている」都市の光景に驚き、「動物たちが歩き回っていても平然としていたら面白いなあ」と思った作家の写真(Ceslovas Cesnakevicius  “The Zoo” series)を見たとき、同じ夢をみている人間がいるんだなあ、とうれしくなった。

ゴルフコースを疾走するシマウマの姿は、そういう一瞬の夢の光景だった。人間に追い詰められて、怯えたまま異国の地で殺されてしまったシマウマを悼むことしか、身勝手な人間には手立てがない。夜中に何となく「Five Hundred Miles」を聴いてたら、「 Lord I'm one, Lord, I'm two. Lord I'm three, Lord I'm four. Lord I'm 500 miles from my home」ってとこで、バカみたいに泣けてきた。

足が遅いくせに狡猾な哺乳類に追い立てられて怯えていた草食動物である彼の気持ちを、人間はけっして自分のものとして理解することができないし、そういったあらゆる感情移入を許さない絶対的な他者性が、動物の尊厳であると思っている。

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