全然好きじゃなかった歌

Nick Caveは大好きなんだけど、この歌は全然好きじゃなかった。絶望の底で神を呪ってるくせにそれは信仰の逆説……みたいな、面倒な歌がツボだから、ストレイトなラブソングって、困っちゃうんだけど。

昨日、怒涛の国会前で、雑踏を突進するお嬢ちゃんたちを脂肪のついた短い腕で守りながら、ようやく辿り着いたあの場所で涙を流す彼女にいっせいにカメラを向ける記者たちにテメー下品な写真撮るなよ、とガンを飛ばして、雨に濡れた道路に慌しく座り込んで、ひょっとしてこの子たち、私に娘がいたとしたら、いまはこんなに立派に育っていたかしら……なんて思ったりしたら、そんなことを思う前から、ただ、ぼろぼろ泣けてきたりして。

雨ばかりの金曜日。
それは、官邸前でも同じだったのは、どういうめぐり合わせなのかな。

気象兵器だってか？　あはははは。本当にね、
バカな大人ばかりでやんなっちゃうよね……。

で、この歌をふと、聴いてみたくなったというわけ。

あなたの舟でこっちへおいで　すべての橋を焼き捨てて

ちょっとした歴史を作っているよ、ねえ　あなたがここへ来るたびに

あなたの犬を僕にけしかければいい　そして髪を下ろして

ちょっとした謎なんだよ、あなたは　あなたが僕を呼ぶたびに

夜通し話し込んだ　正しいことは何かって

だけど　あなたの腕に辿り着けば　みんなひっくり返ってしまう

あなたの舟でこっちへおいで　すべての橋を焼き捨てて

ちょっとした歴史を作るんだよ、ねえ　あなたがここへ来るたびに

悲しそうだね　その時が近づいているから

あなたの翼を折ることになるけど

それでも、そう　あなたは飛ぼうとするに違いないから

あなたの舟でこっちへおいで　すべての橋を焼き捨てて

ちょっとした歴史を作っているよ、ねえ　あなたがここへ来るたびに

あなたの犬を僕にけしかければいい　そして髪を下ろして

ちょっとした謎なんだよ、あなたは　あなたが僕を呼ぶたびに

あなたの舟でこっちへおいで　すべての橋を焼き捨てて

ちょっとした歴史を作っているよ、ねえ　あなたがここへ来るたびに

"The Ship Song" Nick Cave & the Bad Seeds

路上からの景色（2015.8.30）