台風の行方次第なのかしら、などと仕方なく納得するしかないようだから、洗濯の予定も、お昼ご飯の予定も、また、いちから組み直す。
真昼にご飯の食材を買いに自転車で出かけたら、青空の隙間に涼しい風が吹いて、台風のせいで終わったと思っていた合唱には、つくつく法師が加わっているし。
そうだこれはたぶん、夏の終わりだ。
子どものころに通う小学校のプールは、屋外にあった。くすんだ針葉樹の並木が、塀の代わりに取り囲む。だから水面には枯葉だの虫だのが落ちて、水の泡を縁取りにして、みっともなく浮かんでいた。
水中にもぐって、無理矢理に目を開けて青空を見上げると、ゆらゆら横切っていく枯葉。蝉の声はその時、止めた呼吸と一緒に息をひそめる。プールの水のレンズ越しから空の色合いの変化に気づいて、夏休みが終わる予感に驚く子ども。
泳いで濡れた重い髪の毛を持て余して、耳に残った水が音をくぐもらせる。足の指が痛いビーチサンダルに気味悪くまとわりつく校庭の土、赤いリンゴ模様の透明なバッグの中で重くなった水着とタオル。
さるすべりの紅い花、まるで永遠に咲いているかに思われたのに、はらはらと散り、乾いた地面の上で風に吹き寄せられ、歩道の縁に積もる。
同じ夏は二度となくても、歳だけを重ねて、いつかすべて忘れてしまうはずの景色だけが、目を瞑った暗がりの彼方へと。もう幾度目の9月、これから何度出会う9月か。
ぶひ。 |
0 件のコメント:
コメントを投稿