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2014年4月21日月曜日

桜が咲くと年をとる人の場合

季節の境の小糠雨に 大きすぎる男物の傘を広げると
何だか曲芸師にでもなったような気分になるが 別に殊更の芸もない
持て余してくるくると傘を回すが
昔 誠実であろうとした小娘なりの精一杯を思い出そうとしても
それは ただ一箱の煙草を買いに行くだけの外出であったから

種を蒔き水を遣り
もし発芽したなら この春を見送ることにも理があるのか
そんな勝手な問いに答える人も誰もいない

だがソメイヨシノは咲いて散り
桜の花の塩漬けをまんまと作ってやろうと 校庭の花をちぎっていた小娘は確かに青空を見て
自動的に年齢が加算される春をあっけらかんと笑っていたから
そんなふうに軽はずみに足を踏み出して
おんぼろの自転車のペダルを清々と漕いで

下り坂ならば足を上げて
車輪の回るままに面白がって落ちていく
その先が川だろうが淵だろうが
たとえ太平洋だとしても 所詮その先はハワイだもの

パイナップルとか ハイビスカスとか 時計草とか 
種から育てても 温暖な気候ではよい株になるから
だからお婆さんになった自分でも
きっと笑ってしまうはずだよ
手を叩いて涙流して 息苦しくなるほど
大笑いしてしまうと思うもの

近所の公園の桜まつり



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