宿題終わらない夏休み

友人が「ピースとハイライト」を買ったが、私は買わない。スケベなスケちゃんが、小学生がこっそり聴いてたラジオのアイドルだったから、まあまあまあ、とあまり真に受けていない。それでもよいことだ、たぶんよいことだ。

まだ若いお子さんを亡くした恩師からの電話、途方に暮れる老いた親からの電話。

連日30度を超える我が家には空調もなく、熱気と湿気を扇風機でかき回す。防衛費に「海兵隊」の予算がついた。憲法を変えたい党が大勝して、不穏な本音のぽろぽろ漏れ聞こえる。学級文庫で昔読んだ、原爆の後の日々を生きる子どもたちの漫画を、図書館に置くなという脅しがあったとか。世界の各地で魚が岸に打ち上げられたとか、アメリカでは蜂がたくさん死んだとか。

去年はあんなにアナウンスしていた節電のお願いを、今年はさっぱり聞かないとか。

「ひろしま」という映画を見て、「反原発へのいやがらせの歴史展」を見に行った。覚悟とてなくぼんやりと、でもそれはやっぱり他人事ではないから、対象化して外部に置くこともできず、したがって批評するほどの距離もおけず、ただ猛暑でぼやけた身体にじわじわと同化していくような。

今週は、朝や夜は多少涼しい。開け放したドアにレースののれんがふわりと揺れる家を見て、子どものころ通った駄菓子屋の入口で、太陽光に白茶けた厚手の木綿ののれんを、眩しく見上げていた景色を思い出す。100円玉を握り締めて、風をはらむのれんを見上げてた。

朝顔、西洋朝顔、芙蓉、百日紅、マリーゴールド。

気づかぬうちに、シークワサーの葉を食べて大きく育っちゃった揚羽の幼虫の黄緑色。

帰省して、カルピスのアイスを買って帰ったら、父が喜んで食べていた。

宿題を終える前に、夏が終わりそうだけど、また考えます。

また。