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2013年5月9日木曜日

24年前


あやしい諸々の雲行き、なかなか心が晴れない。いちばんいい季節なのに。
酔っ払ってサカナクションを聴いていたら、急に昔の景色を思い出した。押入れの奥に頭を突っ込んで、21歳の言葉で記した19歳の景色引っ張り出した。そのリアルと、現在のリアルと、地続きのはずなのに分断があって、それでも確かにこの拙い言葉は自分の言葉だって知っている。
そんで80歳まで生き延びたとしても、老いて衰えた足で、この景色の先に歩こうとするんだろう。

◆◇◆

「青葉の下の十九歳」

かなしい夢をみていた
青葉の下にいて、木の葉ごしに見上げると
空がただ広くて
私の上を過ぎる風は
はるかな昔から、とりあえず明日へと吹き抜けていく

十九の私は光の中で
ふりつもるゆううつを深呼吸して
あしのうらは土の上に

遠い遠い街が私を呼ぶ
この世界に
もうおまえの家はないのだと
遠い遠い街が私を呼ぶ
だけどそこへたどりつく道を
私は覚えていない

あなたは私の名前を呼んで
少しずつ少しずつ
小石の山を崩して
ことん、と音をたてて、空を見た

それは確かにあなただったか
だけどちっともあなたじゃなかった
私が私だというそのことぐらい
不確かな確かさだった
その意味を私考えたよ
だけど何も分からなかったよ

もう思うまいと心は思う
決して涙を流すまいと泣く心

かぜがふくよ
かぜがふくよ
かみをそよがせてかたにふれたよ

青い青い青空
ただ私を見ていた

1989624日)



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