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2012年10月26日金曜日

安寧の気持ち


「彼ら原発に異を唱える人の生活が自分を惹きつけはしまいかと、案じ恐れるような具合だった。反原発デモなんかに行く人の生活が、人生のあらゆる喜びの否定を必要とする生活のように想像された。しかし彼はこの喜びに生の本質を置いていたので、これを拒否することはできなかった。彼はデモに行く人を非難し、その非難を尊重した。彼はそうした非難の種のつきるのを恐れて、彼らの欠点を発見する機会を探し始めた。」

「いつどこでデモに出会った場合にも、彼は即座に非難の材料を見つけ出した。彼らがサウンドカーに発電機を搭載しているのを目撃すると、彼はすぐさま自分の心に、またときどきは彼らに向かって、君たちは原発はいらないと言いながら、そうやって無駄な電気を使い、結局は電気の恩恵から逃れられないのではないか、君たちは自分をもわれわれをも欺いているのだ、とこう言った。そして彼らがなぜ原発に依存しない電気を正当であり必要であると認めたかという理由について、彼らと論議しようとしないのだった。」

「またお洒落なデモに出会わした場合には、まだそういう美意識を持ち続けていられることを非難した。ユリウスには反原発デモ参加者が罪深い存在であることが必要なのだが、しかし反原発デモ参加者は決して自己の罪過を否定しなかった。したがって、彼らはユリウスの目から見ると、みんな罪深い存在に見えるのだった。彼ユリウスの眼から見ると、反原発を唱える人はみんな口先ばかりで実行の伴わない、偽善者、詐欺師にほかならなかった。こう見えても僕は、言行を一致させているが、君たちは口先と行いがうらはらじゃないか。――こう彼は言うのだった。そして自分にその一事を、なるほどそうだと思いこませるに及んで、はじめて平安な気持ちになり、従前どおりの生活に終始するのだった。」

以下、中略、中略、いろいろあって、めでたしめでたし。

胸糞悪い下品な言葉がTVから聞こえてきたので自棄酒を飲んでいたら、「秋になって部屋にゴキブリが出たよ」という友人の嘆きの電話が長話になった。何か気の利いたことを書くつもりが、すっかり調子が狂ってしまったので、ブックオフで100円で買った古本の抜き書きを改竄して記す。

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