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2012年8月6日月曜日

歌が生まれる場所[2]―祭りとデモの夏

7月1日 原発やめろ野田やめろデモ
7月7日 No Nukes! All Star Demo
7月15日 脱原発船橋+怒りのドラムデモ
7月16日 さようなら原発1000万人集会
7月28日 脱原発中野も第1回パレード
7月29日 国会大包囲

合間には「中野も」の会議や金曜官邸前抗議があって。へろへろで乗り切った7月でした。

久々にデモに行かない週末。昨日は八王子まつりに行ってきた。数年前たまたま行って「太陽おどり」の昭和ソウル歌謡な支離滅裂さに大ウケして以来、昨年の自粛をしょんぼりとやり過ごしての今年。おそらくは立派な農村だったんだろう。地区ごとに豪華な山車が出て、お囃子で「つられたら負け」の「ぶっつけ」を競う。芸妓さんがお囃子を奏でている山車があったり、からくり人形が設えてあったり。

立派な構えの荒物屋さん。
山車の上で狐舞。ちびっこ号泣。

「ぶっつけ」の勝敗は傍目にはよくわからない。。
麦茶や飴玉を振舞ってくれたり、自分の地区の山車を宣伝するパンフを無理やり配ってくれたり、聞いてもいない道を教えてくれたり。なんだかんだ世話を焼いてもらって、楽しい。
踊りながら練り歩く人たちも、道端に知り合いを見つけると手を振ったり立ち話したりして、そういうのが楽しい。


明けて今日は鍋谷横丁の夏祭り。行き着けの床屋さんの出店でビールを買って、あれこれ立ち話しながら、商店街の出店で買い食い。フレンチレストランのグリルドポークや、中国鍼灸院のショーロンポーなんて素敵なおやつがたくさん。高円寺からは阿波踊りの連が来てくれて、「また杉並頼みだねー」なんて友達と笑った。近所のダンススクールの子どもたちが、おませにお化粧してヒップホップダンスを踊って、すごい歓声を浴びてた。

鍋屋横丁、先週はデモ隊が歩いた街だ。
デモにも出店が出ればいいのにな。
歩行者天国になるといいのにな。
*******


「デモなんてべつに特別なことでもないし、危ないことでも奇妙なことでもない」と、一度でも自分の意志で参加した人間なら、きっと思うだろう。そういう経験を伝えたいから、運営する側に立つと、なんとかして参加する人に対して敷居を低くすることに苦心する。
「中野も」がブラバン隊やコスプレ隊を提案したのも、そういう切実な苦心のひとつなんだけど、「普通の人のデモ」として話題になった(今さら)官邸前の動きに焦る週刊誌なんかは、花火大会気分でデモに参加する親子がいるといって揶揄したり、逆にこの動きを「トレンド」として煽りたい週刊誌のほうも、「デモで婚活!」なんて突っ走ったりして。まったく、いいんだか、悪いんだか。


「デモとは何か」とか、そんな方法論に拘泥するのは建設的ではないと思うし、街を歩いて太鼓を叩いて言いたいことを言ったりするのは、理屈っぽい自分にとっては、そういう理屈を超えた衝動みたいなものだ。それがいいのか、悪いのか。分析するのは、後世に任せてもいいし、学者の人に任せたっていいや。

「祭りとは何か」って、それにもいろんな話がある。私が行ったような偏差値の低い芸術学科の授業でも、なんだか聞いたような気がする。偉い人と偉くない人、男と女、そういう日常の秩序を全部ひっくり返す空間だとか、そういう話。
過去の伝統を型どおりに継承するだけが目的になってしまうと、それはつまんないお祭りになってしまう。いま生きている場所のリアルな暮らしと結びついて、リアルな衝動を表現する喜びがないと。フリルつきのミニスカ浴衣に原色のお花の髪飾り。モダンを目指したら、シュールなまでに訳分からなくなってしまった新作音頭。それもアリ。

お役所が開催する成人式なんかが退屈なのは、そういう衝動がきれいに漂白されてしまっているからだ。神様のためにかつぐ神輿という理屈は、みんなが長年の間に作り上げてきた知恵であって、つまりはそういう衝動を表現するための言い訳かもしれない。だからといって、それが不謹慎だなんて、野暮なことは言うものではない。権力に服従する庶民が抱えるモヤモヤの、せめて精一杯の捌け口だなんて、野暮なことは言うものではない。

自分は受動的な存在ではなく、孤立した存在ではなく、ほかの人と連なって、大きな力を及ぼすことのできる存在である。そのことを、祭りの空間で確かめるんだ。「聖なるものに捧げる」という名目で歌う歌は、自分を超えた大きな力、尽きる命の先にある未来に、つながるための歌だ。

だから同じ衝動を抱えて、デモに集まることは、踊り歌うことは、べつに奇妙ではないでしょう。
制度がちっとも汲み上げてくれない「思い」を、せめて大声で叫ぶことくらい。


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