戦後民主主義がぴかぴかしていた時代に、「もう、あんなのは、いやだ」と懲り懲りした世代の人間に育てられた。田舎のごく普通の家。本棚には、祖母と母の買った『暮らしの手帖』がストックされていて、自分の絵本を読み飽きた子どもは、きれいな写真や読みやすい文章の多いその雑誌を、暇つぶしにいつも読んでいた。
子どもなんて単純だ。
そうか、馬鹿な買い物をしたりしなくとも、廃材だの余り布とかを使って、素敵なインテリアが作れるんだ。そうか、見た目の綺麗な食べ物や、一見便利な電化製品にも、ろくでもない「売らんかな」のものがあるんだ。そうか、政府の言うことを無批判に信じていたら、なんだかおかしなことになるんだ。そんなことを思いながら、ぼんやりと育って今に至る。
べつにうちだけじゃないでしょ。
よく売れてた、ご家庭向けの雑誌だよ。
もしかしたら、あなたの居間にだって、そんな雑誌が普通に転がっていたでしょう。
「国民の生活を守るために」と、おかしなことを言った人がいる。
その頃、記者までが核心に触れないような質問を垂れ流していた会見場のすぐご近所。
あまり近くには寄せてもらえないが、とりあえず首相官邸前の道路には、続々と人が詰め掛けていた。twitterの呼びかけを頼りに集まった、いろんな人たち。とくに組織に属するでもなく、自分の声を伝える術がよくわからないけど、とにかくここに来てみたんだ。
じいさん、ばあさん、子連れのお父さん、寄る辺ないパンクス。みんなで声を合わせて。
どうなんだろうな。
つまんない感傷だって分かってるけど、花森安治が生きていたら、何を言ったか。
つい、考えてしまうよね。
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