鎌で草を刈ったりして
背の高さほどにまで伸びた葦を刈って
ぎざぎざの葉で指に擦り傷を作ったりして
そこに空き箱の廃材で家を建て
家具調度なども整えて
錆びた鉄板で屋根を葺く
屋根から地面を見下ろして汗を拭くとき
少しは誇らしい気持ちにもなったでしょう
そこに澱みから水を引き入れ
なんだか池らしいものでも作りましょうか
いい加減な水草も植えつけて
青鷺がすっくと立てば見栄えもするような
平たい石も置いてみよう
覗き込んでみたら
ばら色の水晶のような小魚が
きらきらと日の光を撥ね返していました
存在しない夏の一日に
まだ知り合う前の私たちが
一緒に笑っていた子どものころ
急ごしらえに捏造した
その記憶を頼りに
ここからならばひとりで歩けると
ぎこちなく手を振ることもできましょう
書きかけて捨てた手紙の残骸に
いつか葦が生い茂り
そうしてまた次の夏がくる
雪の夜に思い出したのは
かつて未来であった存在しない夏のこと
遠くで眠る人の背中に結ぶ
擦り切れた銀色のリボンのような祈りなど
(not soberというタグを作るべきですかね。とりあえず、信じようが信じまいが、もう寝ます)
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