桜の木の下に 花ござを敷いて
おままごとをしていました
ごはんですよ 召し上がれ と
お椀に盛った 桜の花びら
こぼさぬように こぼさぬように
神妙に 男の子は受け取りました
律儀に正座をして
降り積もる 花びらの下で
うそっこの ごはんを食べたのです
お仕事に いってきます と 男の子
いってらっしゃい 帰りは遅くなりますか
たくさん お仕事が ありますから
でも きっと 夜には 帰ります
晩ご飯は お赤飯にしましょう
たんぽぽの 玉子焼きも 奮発して
れんげの おすましは 甘い匂い
いってらっしゃい いってらっしゃい
男の子の肩に 花びらが ひとひら
あら あんなところに ごはんつぶ
おべんとつけて どこいくの
くすくす笑う 桜の下
夜には 帰りますか
眠らずに ときどき 行ったり来たり
薄暗い門口で待ち侘びても
僕には たくさん お仕事が ありますから
そうおっしゃって 神妙に ちょっと笑って おでかけでしたね
いってらっしゃい お早うお帰り
お赤飯を炊いて 待っています
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